糖尿病性腎症重症化予防への取り組みこのページを印刷する - 糖尿病性腎症重症化予防への取り組み

どのような病気でも重症化予防に一番大事な事は、「早期発見・早期介入」です。

糖尿病性腎症(糖尿病性腎臓病)は初期には症状がほとんどないため気づかれない事が多いですが、尿検査が早期診断の手がかりとなります。

特に微量アルブミン尿のみを認める早期腎症期(第2期)での介入が重要です。

一般的には、早期腎症期に治療を開始すれば、改善あるいは進展を阻止することができます。しかし、早期腎症期でしっかりと治療を行っても、進展が抑えられないこともあるので注意が必要です。

また、早期腎症期でもすでに強い組織障害が認められる、というケースもしばしばあります。

千葉東病院における糖尿病性腎症の診療方針

1. 早期腎症期(第2期)

この時期は、適切な治療、そして食事・生活管理を行えば、“治す”ことが可能といわれています。逆に言えば、この時期を過ぎると、重症化を完全に押さえ込むことは困難です。
そこで、治癒を目指して全身の評価を行いながら集学的治療(食事指導・血圧管理・血糖管理・脂質管理など)を行います。
しかし一方で、早期腎症でない場合もあります。また、糖尿病性腎症以外の原疾患を合併していることもあります。
当院では、
集学的治療によってもアルブミン尿が改善を認めない場合や、腎機能が増悪して来る場合
血尿等が見られ他の糸球体疾患合併が疑われる場合
には、相談の上腎生検を施行して病態を正確に把握し治療を行います。

2. 顕性腎症期(第3期)

動脈硬化病変や心血管合併症の有無ついて全身の評価を行いつつ、集学的治療を行います。
また、蛋白尿の原因となりうる他の糸球体疾患の有無を確認するため、また腎障害の程度を正確に把握するため、必要であれば腎生検にて確定診断・病勢診断を行います。(網膜症の有無や血尿の有無などをもとに検討します)

3. 腎不全期(第4期)

動脈硬化病変や心血管合併症の有無について全身の評価を行いつつ、集学的治療を行います。
できるだけ腎機能を保持するために合併症の程度や年齢などを考慮しながら血圧・糖尿病治療薬の調整を行います。また、腎機能低下に合わせて薬剤の容量調整や、骨代謝・貧血の管理を行います。必要に応じて腎代替療法(血液透析、腹膜透析、腎移植)についての情報提供を行います。
※いずれの病期においても、血糖コントロールの目標値再設定、糖尿病の食事、運動、薬物療法の調整が必要な場合は、糖尿病内科と協力して診療に当たります。

医療関係者の皆様へ

当科ではより早期からの治療が有効と考えていますので、微量アルブミン尿の時点でご紹介頂いて構いません。また、蛋白尿のみならず血尿が見られる際には他の原因疾患が隠れている可能性もありますので、腎生検も含めた精査を行う為当院へご紹介いただければと思います。

*当院への紹介基準(例)
・治療を行なっているにもかかわらず、微量アルブミン尿が増加傾向にある場合
・尿潜血を認める場合 ・網膜症がないにもかかわらず蛋白尿を認める場合
・急激な蛋白尿増加を認める場合
・eGFR(年間 5ml/min)以上の腎機能障害の進行を認める場合
・3期、4期で全身の評価や、薬剤調整、腎代替療法の説明・準備等が必要な場合

※お手数ですが紹介状もよろしくお願いいたします。重症化予防用の書式もございますのでよろしければご利用下さい。
なお、当院にて精査を行った上で、検査結果等を情報提供させていただきますので、以後の貴院での診療にお役立ていただけますと幸いです。

受診を希望される患者様へ

受診を希望される方は、当院の連携室にご連絡いただき、新患予約を取り、受診してください。
医療機関からのご紹介の場合でも、患者さまご本人からご連絡いただければ予約をお取りします。