神経変性疾患研究室このページを印刷する - 神経変性疾患研究室

神経変性疾患研究室の概要

神経変性疾患とは原因が不明の中枢神経の障害をおこす進行性の神経疾患で、その多くは特定疾患として難病に指定されています。
当神経変性疾患研究室では、歴史的に当院が神経難病の千葉県における基幹病因であること背景に、当院の神経内科と協力し、神経変性疾患の中でも神経難病に 指定されている「筋萎縮性側索硬化症」、「脊髄小脳変性症」、「パーキンソン病」、「進行性核上性麻痺」、「多系統萎縮症」などの臨床研究や病理研究を 行ってきました。現在はそれらの研究に加え、心理的な検討を開始し、よりよい医療の開発とその病態研究を行っています。
さらに、近年、急速に患者が増加している最大の神経変性疾患である「アルツハイマー病」を中心とした認知症疾患に関しても臨床研究、基礎研究、治療研究を行っています。
室長 :磯瀬 沙希里

主な研究内容と目的

1. 神経難病患者に対する心理的サポート法の確立

当院は千葉地区の神経難病支援センターであり、筋萎縮性側索硬化症をはじめとする、神経変性疾患の治療、ケアの中核病院です。神経変性疾患は未だに原因が はっきりしません。また一部の疾患を除いて有効な治療が無い現状です。しかし、このことはすなわち医療が必要ではないということではありません。根本的治 療が無く神経症状が進行する神経難病こそ多くの医療的あるいは看護、介護、心理・精神的介入が必要になってきます。このような難病患者達を心理・精神的に どのようにサポートしていくのが良いのか、またこれらの患者の心理・精神状態をどのように評価するのかを解明することがテーマです。これらの研究は臨床心 理士である加藤、男澤が主に行っています。

2. 神経変性機序の解明とその治療法の開発

神経変性疾患の多くが脳、脊髄内に異常なタンパクの蓄積を認めます。これらの疾患ではこのタンパク蓄積のメカニズムが神経障害と密接な関係を持っていると 考えられています。私たちはこれらのタンパク蓄積を再現したモデルマウスを用いてその病態解明や治療法開発のための基礎研究を行っています。特に、脳内の 炎症性変化と神経変性の関連に注目して検討しています(図)。

(図)P301S変異ヒトタウ遺伝子導入マウス(PS19)におけるマイクログリアの活性化 タウ蛋白(赤)が神経細胞に蓄積している。マイクログリア(緑)は活性化し、巨大化し突起が太くなっている。

3. アルツハイマー病の診断・治療研究

アルツハイマー病を中心とした認知症患者は、高齢化に伴い急速に増えています。進行抑制や症状の改善に効果のある新薬の開発や早期診断法の開発が望まれま す。私たちはこれらの臨床的な研究開発に参加しています。2011年に新たに発売されたガランタミン、リバスチグミン、メマンチンの3種類のすべて新薬開 発研究に参加しました。また現在も次世代の治療研究に参加しています。
また、アルツハイマー病の新たな診断法、バイオマーカーの確立を目指した、日本における共同研究であるJ-ADNI研究に、千葉県内の機関として、旭神経内科病院(松戸)と放射線医学総合研究所(千葉市)とともに参加しています。また放射線医学総合研究所とは新たな「毒性伝達機構の分子イメージングを基軸とした神 経変性疾患研究」に関して連携研究者 として協力しています。

実績

スタッフ紹介

吉山 容正(医師)
伊藤 喜美子(医師)
磯瀬 沙希里(医師)
小出 瑞穂(医師)
加藤 麻美
小島 綾子

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